「変態する音楽会 -Transforming Orchestra – 」ライブレポ

こんにちは!音楽家の千野こころです。

今日はこんなコンサートへ足を運びました。

テクノロジーで生まれ変わるオーケストラと音楽
「変態する音楽会 -Transforming Orchestra – 」

クラシックの常識を覆すと銘打っているこのコンサート、先ほど、終演し、余韻冷めやらぬホヤホヤの感覚でパソコンを打っています。

このコンサートは、落合陽一さんと日フィルのコラボシリーズ第二弾。
いやあ、それを聞いただけで、ドキドキが止まらないです。

ジェフ・ミルズ×東フィルの爆クラ(爆音クラシック、ホールがクラブに!)以来の未知との遭遇にワクワク。

落合さんは言わずもがな、メディアアーティストとして「現代の魔法使い」と呼ばれているお方。

そこに今回は東京、仙台、そしてロンドンに拠点を置くビジュアルデザインスタジオ「WOW」が映像演出を手掛けたまさに贅沢すぎる企画です。

これはもう、素晴らしい空間にならないわけない!と期待を膨らましてホールへと向かいました。

落合さん自身も「マジでチケットを買わなかった人は損してると思う」と仰っていましたしね。(なんと、実は昨日このコンサートを知って、即購入です。笑 何事においても知らないって一番怖い。)

ここで、びっくりするのが、18:50から落合氏のプレトークだったのに、18:35くらいに到着した私と一緒のタイミングで普通に会場へ入場していく落合さん。(笑)
このタイミングで、会場入りしちゃうあたりで、もう普通の方とは時間への価値観が違うんだと思います。(いい意味で)
ぶっちゃけ、何なんだろう、この時間って思ってしまう”お付き合いの時間”て、すごく多いです。

何時間も前に入って、儀式のようなリハをやるのもスペシャリストにとったら、本当に必要な時間なのかと言ったら謎です。(演奏の打ち合わせ的な意味合いを持つリハは勿論必要です。)

時間は生命、そう言いますものね。

未来的デバイスで体感する音楽

今回私はS席だったんですが、SS席では何やら新兵器(?)を使って音楽を「身体で感じる」ことが出来たそうです。新兵器というのがこちら。

SOUND HUG


この光る白い球体、抱きかかえることで、まるで音をハグするように、音の速さやリズムを振動で感じられるという、バルーン型のデバイス。なんて未来的!

Ontenna


このヘアピンのようなデバイスは、髪の毛に装着し、振動と光によって音の特徴をユーザに伝える。いわゆる「まるで猫のヒゲが空気の流れを感じるように、髪の毛で音を感じることのできる装置」なのだ。ちなみに、富士通(株)の開発。

すごい時代になったものです。

コンサート内容

踊りをテーマに、キャッチーで短めなクラシック音楽がセレクトされていて、聞きやすいです。いつもとは違うホールの雰囲気。客層が普通のクラシックコンサートとは違います。カメラをさげたお洒落男子もたくさんいました。

初めはスタンダードなクラシックの演奏スタイル。

そのうち、カラーの照明とともに、ステージ中央のスクリーンに映像が映し出されます。

ただ、前半では、期待の方が上回り、あまり「変態」していないように感じたのも事実。

よくありそうな演出。

時間が進むにつれ、映像と音楽、光、が段々とリンクしていきます。
サン=サーンス「死の舞踏」では、仄暗い魔界に光が差すような、薄紫の光のヴェールが。

この時は、私はまだその映像の凄さがわかっていませんでした。

実は、映し出された映像は作られたものではなく、海老原さんの指揮に合わせその場で、反応していたもの!

音楽も生、映像も生、ということです。

そう知ると、瞬間芸術としての価値が高まります。

ビゼーのファランドールの手前で何やら、ライトセーバーのような棒を持った黒服の皆さんが2回席へ登場。(筑波大学ダンス部の皆さん)

その後、最後までテーマに合わせ光る棒とスクリーンによって空間が作られていきます。

休憩を挟み、ワークショップ。

SNSオッケータイムに、ホール中にシャッター音がひしめきます(笑)

落合さんの指揮に合わせ、動く光。

最後は、本コンサートのメイン、モーリス・ラヴェルのボレロ。
クライマックスにかけ、光と音量が増して行きます。
(でも個人的には、この辺り、もっと感動的に光まくって欲しかった。)
クラシックをやっている私には、もっともっと常識を覆しちゃって欲しい!という欲がありましたが、きっと今回は、私たちお客さんの頭の中で、自由に思い描ける余白を作ってくれていたんだと思います。むしろ、その自由な想像が狙いというか、そこを変態と呼んだのでは?と。

今日初めてオーケストラの演奏を聞いた方には、一生忘れられないクラシックコンサートデビューになったんじゃないでしょうか。

こうやって、様々な工夫をするだけで、クラシック音楽がもっと身近で、もっと新しい、最高の生のエンターテイメントになっていくと思います。
こういうコンサートの存在を一人でも多くの方に伝えるのが、音楽家である私にできる役目かなと思いました。

まとめ

落合さんにつけられた「現代の魔法使い」という言葉。
その言葉に、最も似合うプロジェクトなのではないでしょうか。
このプロジェクトシリーズ、どんなテーマを掲げてまた戻ってくるのか楽しみです!
今回、行けなかった方も、次回ぜひ足を運んで見てください♪

新たなクラシックの可能性に触れて、インスピレーションを駆り立てられるはず。

▼日本フィルハーモニー HPより引用▼

オーケストラが誕生して約300年。その間、写真、映像といったメディアが生み出され、進化してきましたが、指揮者と楽器奏者で構成されるオーケストラの構造はずっと変わっていません。しかし、このコンサートでは、「映像装置」を楽器奏者として加え、オーケストラという編成をトランスフォーム(=変態)します。この楽器としての映像装置のスコア(楽譜)を新たに書き起こすのが落合陽一です。コンサートでは、曲目ごとにオーケストラが様々に変態していきます。これまでの「音楽」に映像が従う、または「映像」に音楽を合わせる主従の関係をDISRUPTION® (創造的破壊)して、映像も音も、並列の関係でオーケストラとして再構築します。「現代の魔法使い」落合陽一が、テクノロジーによってオーケストラを変え、耳、目だけでなく全身で体感する新たな「体験」を提供します。

【プログラム】

★ドヴォルジャーク:スラブ舞曲第1番
★ブラームス:ハンガリー舞曲第1番
★サン=サーンス :交響詩《死の舞踏》(ヴァイオリン・ソロ:鎌田泉)
★ビゼーによる舞踊組曲(海老原光編)
 《アルルの女》第2組曲-ファランドール
 《カルメン》組曲 – ハバネラ、アラゴネーズ、セギディーリャ、ジプシーの踊り
★ラヴェル:ボレロ

おまけ

シアトル帰りのクラリネット奏者のまつりちゃん(安藤綾香さん)と席が近かったという奇跡!久しぶりに会えて嬉しい〜!

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ABOUTこの記事をかいた人

ホルン奏者 / ショコラアドバイザー / 甲府市民吹奏楽団常任指揮者 / フルートとホルンのユニット ura*coco / チョコレートと椎名林檎さんと映画がすき。司会やデザインのお仕事もしています。instagramは#365スイーツで検索。YBSラジオ『千野こころのハーモニックハート』毎週土曜日16:15〜ON AIR!